

2018年9月6日に発生した、北海道胆振東部地震。北海道厚真町(あつまちょう)で震度7、北海道安平町(あびらちょう)、北海道むかわ町で震度6強を記録し、地震発生から17分後に全道がブラックアウト(発送電システムの全系崩壊停電)となりました。
地震発生直後、苫東厚真火力発電所(2号機・4号機)のタービン停止に伴い、一時は電源周波数が46.13Hzまで低下。北本連系設備の緊急動作が開始されたことで50Hzに向かって回復傾向に転じましたが、その後道東エリアが単独系統となり周波数の上昇により水力発電所が停止し、北本連系設備がフル稼働となったことで余裕がなくなったのです。その後、苫東厚真火力発電所(1号機)のボイラー管が破損によって停止。道内全体の需給バランスが崩れ始めて電力レジリエンスが低下し、その結果としてブラックアウトに至りました。
このように、前代未聞ともいえる全道ブラックアウトは、周波数の低下と急激な回復によって風力発電所と水力発電所が停止したこと、苫東厚真火力発電所(1号機)のボイラー管が破損したことなど、複数の要因が重なったため発生したのです。
ブラックスタート用電源として活用できる揚水発電。しかしながら広大な土地や設備、コストや時間を必要とするため全道の安定的な電力を確保するには数が少なすぎるといったことが課題になっています。
これを解決するのが蓄電池と系統連系インバータを組み合わせたESS(エネルギーストレージシステム)なのです。なぜならば、揚水発電と同様の機能を持つESSは、揚水発電と比較し、コンパクトで短期間さらにコスト安で設備設置が可能だからです。すなわち、ENAXが提供するESSは、ブラックスタート機能を備えた「電力レジリエンス対策」を実現できるシステムなのです。
電力供給インフラの系統と連系させているESS用蓄電システムは、上位側からの充放電指令に対して瞬時の充放電レスポンスが可能です。例えば、契約電力料金を抑制するための電力ピークカットを行う場合、使用電気量が設定値を超過しそうになったら、超過する分の電気を瞬時に放電させます。また停電が発生した場合、ESS用蓄電池システムならこれを検知した瞬間から重要負荷に放電し、停電と同時に蓄電池から電力が供給されるため、災害時でも電気の遮断を防ぎ、電力レジリエンス対策が可能となります。
2020年6月、電力インフラのレジリエンス確保を目的として「エネルギー供給強靱化法」が成立しました。万が一、地震や台風、大雨、豪雪、落雷などの自然災害によって停電が発生したときの対策として、ENAXのESS用蓄電システムはBCP用電力確保にうってつけのソリューションといえます。
現在では不安定な世界情勢の影響もあり電気代の高騰が深刻化していますが、ESS用蓄電システムを工場や事業所などの電力ピークカットに活用することで、電気代の削減にもつながるでしょう。「電力レジリエンス対策」と聞くと、「大規模な発電設備の導入が必要なのでは?」「電力会社・発電所などと連携しなければ難しいのでは?」と思われがちですが、各事業所や工場といった単位で実践できる対策は様々なものが考えられます。電力レジリエンスに関するご相談があれば、お気軽にENAXへお問合わせください。
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